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知ってた?
これがホントのエクアドル人
駐日大使がお教えします!

 スペイン語で「赤道」を意味する「エクアドル」。国名通り、赤道直下に位置する南米の国です。もっとも、地域によって気候や民族などは全く異なり、多彩な表情を見せてくれます。1978年に世界自然遺産に登録され、ユニークな生き物が数多く生息するガラパゴス諸島もエクアドルの一部です。そんなエクアドルの日常とはどのようなものなのでしょう。2年前に来日し、休日には都内でサイクリングを楽しんでいるというハイメ・バルベリス大使に聞きました。

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1000円札でおなじみ「〇〇〇通り」

 日本からだと地球の反対側に位置するエクアドル。空路による直行便もなく、アメリカやヨーロッパを経由するのが一般的で、最短でも1日近くかかります。
 しかし、そうした地理的な距離とは対照的に、エクアドルと日本の関係は実に親密なのです。交流の歴史も長く、昨年はお互いの国が外交関係を樹立して100周年になり、さまざまな記念イベントが開かれました。
 そうした両国の親密な関係を象徴しているのが医学者の野口英世です。日本の1000円札に印刷されている彼のポートレート、実はエクアドルで撮影された写真がもとになっているんです。野口は1918年にエクアドルを訪れて感染症の病原体を見つけ、ワクチンを作って私の母国の人たちを救ってくれました。そうした功績から、首都のキトとグアヤキルには「ノグチ・ヒデヨ通り」があり、彼の名を冠した小学校や記念切手もあります。
 日本人にとって偉人の野口は、エクアドル人にとっては恩人でもあるのです。

2

ガラパゴス!……だけじゃありません

 本土から西に1000キロほど離れたガラパゴス諸島は、独自の進化を遂げたユニークな生き物たちの楽園です。日本からエクアドルを訪れる年間約4000人の半数ほどがガラパゴスを目指します。もっとも、ガラパゴスだけがエクアドルではありません。ほかの地域もぜひ訪れてほしいのです。
 エクアドルは変化に富んだメガダイバーシティ国家の一つ。地理的に四つの地域に分かれます。ガラパゴス以外に、「オリエンテ」と呼ばれる内陸のアマゾン地域、「シエラ」と呼ばれる冷涼なアンデス地域、そして「コスタ」と呼ばれ、リゾートを含めて開発が最も進んでいる太平洋沿岸地域があります。
 基本的に国土は赤道直下の熱帯ですが、シエラは標高が高く、コスタも寒流の影響で過ごしやすい。首都のキトはまさに赤道のすぐそばにありますが、標高が2850メートルもあって暑苦しさとは無縁です。こうした地域も訪ね、自然や文化の多様性を体感してください。

3

青いバナナ、こうして食べるんです

 地域によって食べ物も多種多様。例えば、カングレホ。海岸地方のグアヤキルの名物料理で、マングローブガニを丸ごとゆでたものを木のハンマーでたたき割りながら食べます。エビのセビーチェもおいしい。主食として青いバナナを揚げたものを食べます。
 アンデス地方ではジャガイモや穀類を使った料理が有名。「ロクロ・デ・パパ」というジャガイモをピューレ状にしたスープは実にまろやか。また、「クイ」というテンジクネズミも高級食材として珍重されていて、グリル料理などに使われています。
 復活祭の時期になると、「ファネスカ」というスープが食卓に上がります。イエスの12使徒にちなみ、12種類の穀類を牛乳などで煮込み、干した塩ダラを入れて味わいのアクセントにしたり、コクを出したりします。
 海岸地方にあるマナビ県はグルメが楽しめる場所として知られ、エクアドルの各地方の料理はもちろん、和食を含む世界各地の料理を楽しむことができます。

4

今年は「あの人」の人形が燃やされる?

© Ximena Cisneros

 ユニークな風習も数多く残っています。例えば、年末にはその年に話題になった有名人の等身大の紙製の人形を買ったり作ったりして家の前に飾り、年が変わった瞬間にそれを燃やします。人形には、政治家や映画の人気キャラクターなどを模したものもあります。ポジティブというよりネガティブな意味で有名になった人が人形のモチーフになるようです。今年はどんなキャラクターが人形になるんでしょうね。
 人形を燃やすことで、旧年の嫌なことを忘れ、新しい年を迎えるという意味合いがあるようです。その際、燃やした人形の未亡人ということで、男性たちが女装し、人形の製作費を賄うために街ゆく人にチップをねだるという風習も残っています。日本の年末年始とはだいぶ違いますが、見てみたくなりませんか?
 また、11月に先祖の供養を行う「死者の日」もメキシコほど盛大ではありませんが大切な祝日です。日本のお盆と似た行事です。その日は人間の形をしたパン「グアグア・デ・パン」を食べ、「コラダ・モラダ」というベリー類を煮込んだ紫色のあたたかい飲み物を飲みます。

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「移住したい国」に選ばれる理由とは

 数年前、ビジネスや技術関連のニュースを伝える有名なサイトで「リタイア後に移住したい国」ランキングの1位にエクアドルが選ばれたことがあります。実際、アメリカなどからリタイア後に移住してくる人もいます。エクアドルは暑すぎず寒すぎず、過ごしやすい気候で、医療のレベルは高いのに医療費は安い。物価も安く、治安も悪くありません。そうした点がゆったりと生活したい人たちを引き付けるのでしょう。
 多彩な民族構成も影響しているかもしれません。先住民とスペイン人が混血したメスティーソが約7割を占めますが、白人や先住民、そして黒人やアジアからの移民もいます。私はメスティーソですが、互いの民族を尊重していて異なる文化や風習に対しても寛容です。
 お互いが違っていることを認め合うことが、多様な要素で成り立つエクアドルを一つにまとめるためのアイデンティティにもなっているのです。エクアドルを訪れていただければ、そのことを様々な場面で実感していただけると思っています。

ハイメ・バルベリスさん
(駐日エクアドル大使)

1957年8月、エクアドル・キト市生まれ。81年にエクアドルカトリック大学で法学博士号、90年にエクアドル中央大学で国際法博士号をそれぞれ取得。 79年にエクアドル外務省に入省。アメリカ局長、駐ドイツ・ハンブルク総領事、駐ハンガリー大使などを経て、2017年4月より現職。子供4人。趣味はサイクリングと写真撮影。18年に開かれた駐日大使らによる写真展でアンバサダー賞を受賞。

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