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2026.07.09

JTの考える“心の豊かさ”とパーパスコミュニケーション
新統合キャンペーン「この広い広い世界で。」

2026年4月、JTの新たな企業広告シリーズ「キャプテン・モットの冒険」が始まった。俳優の柳楽優弥さん演じる探検家が大海原へと旅立ち、さまざまな“心の豊かさ”を持つ人々と出会っていくシリーズだ。7月9日には、この物語に込めた思いを伝える新聞広告が掲載。「心の豊かさとは何か」を問いかけた前作「鬼のゆく道」の世界観を引き継ぎつつ、その問いを「この広い広い世界で。」というより大きなテーマへと広げ、テレビCMにとどまらない統合キャンペーンへと進化させている。

日本たばこ産業
パブリックリレーション部 戦略担当部長 古川将寛氏

「鬼のゆく道」から受け継ぐ、“一人一人の心の豊かさ”

―はじめに、4月からスタートした「キャプテン・モットの冒険」シリーズについて教えてください。

JTグループは、24年から俳優の山田孝之さんを起用した「鬼のゆく道」シリーズを展開してきました。久しぶりに人里へ下りた鬼が、さまざまな人々と出会いながら“心の豊かさとは何か”という問いの答えを模索していくストーリーでした。26年4月からスタートした「キャプテン・モットの冒険」は、探検家が自分から“広い世界”へ漕ぎ出し、ユニークな人々と出会っていくシリーズです。「心の豊かさ」は人それぞれであって、その“一人一人の心の豊かさ”を前面に押し出し、応援するような展開にしたいと思っています。4月からオンエアした第1弾の「船出篇」は、俳優の柳楽優弥さん演じる探検家が旅立っていくプロローグでしたが、5月からの第2弾「アントマン篇」では、アリ探求家、アリマスターとして有名な島田拓さんと出会います。

テレビCMシリーズ「キャプテン・モットの冒険」船出篇
同 アントマン篇

―「鬼のゆく道」が架空の鬼と人々との出会いだったのに対し、「キャプテン・モットの冒険」は、ユニークな価値観や世界観を持って心豊かに生きる実在の人たちと出会っていく物語ですね。

「心の豊かさを、もっと。」は、JTグループが23年2月に制定した、多様で変化の激しい時代に向けたグループパーパスです。その理念のもと、「心の豊かさを問い続ける」という軸は、前作から一貫して変わっていませんが、描き方は変えています。「鬼のゆく道」では、例えば「分ければ物は減るけれど、喜びは増える」といった普遍的な価値観を描いていました。今回はどちらかというと、「結果は出なくてもいい、その過程を楽しむことにこそ豊かさがある」という方向です。アントマンの島田さんは、まさにその象徴。何時間も寝そべってアリを観察しても、何も分からない日もあります。そこに“豊かさ”を見いだす姿を、前面に押し出しています。

前作のテーマが「心の豊かさとは何か」という本質への問いかけだったとすれば、今回のテーマは「この広い広い世界で。」です。「鬼のゆく道」シリーズに寄せられたお客さまの生の声や、ソーシャルリスニングの結果を見ると、“JT=心の豊かさ”というイメージが、生活者の方々の中にある程度根づき始めたという手応えがありました。一方で、世の中には“心の豊かさ”を一つの型に押し込めようとする力も働きがちです。だからこそ、「私たちJTグループは、一人一人の豊かさを応援している」というメッセージを、より大きなスケールで届けたいと考えました。

―あらためて、「心の豊かさを、もっと。」というグループパーパスは、どんな思いが込められているのでしょうか。

“心の豊かさ”という言葉自体は、表現こそ違えど、実はずっと以前からJTの経営計画に登場してきたものです。かつての「Delight(ディライト)」や「ひとのときを、想う。」といったメッセージも、根っこにある思いは一貫しています。23年に、それを「心の豊かさを、もっと。」という言葉であらためて明文化しました。

変わったのは、その捉え方のスケールです。たとえば「ひとのときを、想う。」は、人生の“瞬間”という「点」にフォーカスしていました。今の「心の豊かさを、もっと。」は、その一瞬一瞬を、JTグループの総力を挙げて、商品やサービスを通じて提供していく。そうして点を線へとつなげていくイメージです。その線でつながる人が増えていけば、やがて社会全体の豊かさへと広がっていく。やっていること自体は変わりませんが、その延長線上で、スケールをぐっと大きくして発信しています。

―主人公の「キャプテン・モット」も、グループパーパスから生まれたのでしょうか。

そうです。“一人一人の心の豊かさ”の積み重ねが、やがて社会や世界を、そして未来をより良くしていく。JTは、その人それぞれに異なる多様な「心の豊かさ」に寄り添い、応援する企業でありたい。それが「もっと」という言葉に込めた思いです。ただ、これまでの施策では、どうしても「心の豊かさ」という言葉のほうに目が行きがちで、「もっと」にはなかなか光が当たりませんでした。だからこそ、その「もっと」をきちんと表現したい――そんな思いから、「キャプテン・モット」という名前にたどり着きました。

テレビ・新聞・SNS ―― メディアを横断する統合キャンペーンへ

―7月9日の新聞広告の狙いを聞かせてください。

私たちの企業広告は、特定の誰かに向けたものではなく、すべての人々、“一人一人の心の豊かさ”を応援したいという思いで作っています。なかでも読売新聞は日本で最大の発行部数を誇りますから、そこに出稿する意味は大きい。今の世の中、スマートフォンしか見ない人もいる一方、新聞しか読まない人もいます。だからこそ、できる限りあらゆるチャネル、あらゆる接点でつながり、共感していただきたい。新聞への出稿も、その一環として当然のものと位置づけています。

2026年7月9日 読売新聞 朝刊

―「鬼のゆく道」シリーズでも、新聞広告を掲載していましたね。

24年と25年に計2回掲載しましたが、コピーはほぼ同じです。シリーズのテーマである「心の豊かさって、なんだ?」をキャッチコピーに、グループパーパスを訴求する内容でした。ただし、山田孝之さん演じる鬼の表情は、テレビCMの展開と連動させていました。登場篇の頃の鬼は、まったく人間らしい表情をしていませんでしたが、シリーズが展開したバス編になると、時折、人間味のある表情を見せるようになります。そうした表情の変化は、CMを好意的に見てくださっている方ほど、敏感に気づいてくださるものです。だからこそ、新聞広告に登場する鬼の表情も、そのCMの流れを反映させたクリエイティブにしていました。

―今回の新聞広告は、テレビCMとは異なるビジュアルでした。

テレビCMでは船が大きくフィーチャーされていますが、新聞のクリエイティブは洞窟です。社内でも、「航海に出ることが大切なのか、それとも冒険や探検そのものが大切なのか」を、ずっと議論していました。今回の一番のメッセージは、“一人一人の心の豊かさ”を応援したいということ。その豊かさに出会っていくワクワク感、ポジティブな意味合いを込めたいと考えたとき、たどり着いたのが「冒険」でした。冒険には、一般的に怖さや不安もつきまといます。けれども新聞広告では、その怖さよりも、これから何が起こるかわからない未知の世界に踏み出していくワクワク感を、洞窟に足を踏み入れた柳楽さんの表情で表現したいと考えました。

―テレビ、新聞、SNSなど、各メディアの役割や使い分けはどう考えていますか。

これまでのキャンペーンは、テレビCMと新聞広告をメインに展開してきました。しかし、「どれだけ幅広い方に見て、共感していただけるか」を考えたとき、タッチポイントを制限すべきではない、という結論に至りました。今はラジオやX、Instagram、縦型動画、少し変わったものだと年末年始の川崎大師駅でのOOH(屋外広告)など、これまでJTがやってこなかった新しい接点にも、幅広く取り組んでいます。

実は「キャプテン・モットの冒険」においては、テレビCMは一つの施策にすぎません。その上にある大きな傘が「この広い広い世界で。」というキャンペーンで、それをストレートに表現したものが新聞広告です。ラジオもXやInstagramも、それぞれが同じ背骨を持ちながら、独自のキャンペーンとして並走させています。以前は「CMを作って終わり」という面も少なからずありましたが、今はさまざまな手法を使い、データ分析もしながら展開しています。たとえばデジタル広告では、企業色の強いテキストを避け、リンクの表記も「もっと見てみる」といった、より生活者に近い自然な言葉へと、データを見ながらアップデートしています。今年から特に大きく変えており、そうした展開は特設サイトでも公開されるので、楽しみにしてください。

「キャプテン・モットの冒険」特設サイト

―さまざまなチャネルで並走させる中で、効果はどのように測っているのでしょうか。

最終的なゴールは「企業価値にどれだけ貢献できたか」です。ただ、それは結果ですので、その手前の段階として、企業の認知度や、どれだけJTを好きになっていただけているか、といった指標をデータで見ています。さらにその前には、グループパーパスをどれだけ認知・理解・共感していただき、パーパスに沿った行動につながっているか、という調査も行っています。そうした方々が、そもそもテレビCMを認知しているのか、どの接点で私たちと出会っているのか――こうした流れをファネルごとに細かく並べて、データで把握しています。

「この広い広い世界で。」が描く、これからの豊かさ

―シリーズの続編は、どういう展開になるのでしょうか。

「アントマン篇」ではアリ探求家の島田拓さんに、静かで、プロセスそのものを楽しむタイプの“心の豊かさ”を体現してもらいました。続編では、その真逆――動的で、結果を出すことを楽しむような方にお願いする形になると思います。今はややのんびりとしたトーンのCMですが、続編は「同じシリーズなのか」と思うほど、ガラリと変わります。振り幅を大きくすることで、“心の豊かさ”の幅そのものを表現したいと考えています。

―最後に、グループパーパスを実現するための社内の取り組みと、今後の展望を聞かせてください。

大きく二つあります。一つは、「D-LAB」という組織を中心とした研究開発です。JTグループがどのような“心の豊かさ”を商品やサービスとして提供していけるのか、海外のメンバーとも日々ディスカッションを重ねています。もう一つは、コーポレートブランディングの取り組みです。JTグループとして、このパーパスをどんな性格やアイデンティティで体現していくのか。たばこ事業や加工食品事業、経理など、一見関係のなさそうな部署のメンバーまで集めてワークショップを行い、私たちが社会や株主、従業員に伝えていきたいことを、言葉として整理し、構造化しています。

社会も、私たち自身のビジネスや考え方も、変化のスピードはどんどん速くなっています。だからこそ、どこに出稿し、どんな手法で広告を届けるのか、これまでにないことに、どんどん挑戦していきたい。「次はどんな世界が見られるんだろう」――そんなふうにワクワクしながら、皆さんにも一緒に楽しんでいただけたら、うれしいですね。

D-LABは、「心の豊かさ」を実現することをミッションに2020年に立ち上がった。
「心の豊かさ」という提供価値を起点に、常に100件以上のプロジェクトが進行している