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野球場を核ににぎわい、出会い、体験する街TOKYO GIANTS TOWN【読売グループリソース①】
2025年3月に開業したジャイアンツタウンスタジアム(Gタウン)は、読売ジャイアンツのファーム新本拠地でありながら、地域イベント、アマチュア野球、企業プロモーション、そして2027年開業予定の水族館・飲食施設までを見据えた新しい街「TOKYO GIANTS TOWN」の中核施設だ。運営を担うよみうりランドは、この場所を「野球を観る場所」にとどめず、ファン、地域、企業が日常的に交わる開かれた舞台として育てようとしている。Gタウンが目指す次世代型スポーツアドバタイジングとプロジェクトの今後について聞いた。

法人営業推進課 課長 安藤陽平 氏/運営課 課長 奥谷 祐 氏
野球、エンタメ、地域交流が交わる新しい街づくり
──Gタウンの概要を教えてください。
奥谷氏 TOKYO GIANTS TOWNは、読売新聞社、読売巨人軍、よみうりランドの3社が手がける新しい街づくりプロジェクトです。エリア全体を「TOKYO GIANTS TOWN(東京ジャイアンツタウン)」と呼び、その中核となる施設が、2025年3月1日に開業した「ジャイアンツタウンスタジアム」です。読売ジャイアンツの二軍・三軍新本拠地であると同時に、国内初となる水族館一体型の球場として、スポーツ、エンターテインメント、地域交流が一体となった新しい空間を目指しています。
スタジアムでは、ファーム公式戦をはじめ、読売ジャイアンツ女子チームの試合、高校・大学などのアマチュア野球、地域イベント、スポーツ教室、コンサート、マルシェ、夏祭りなど、さまざまな催しを実施しています。また、試合やイベントがない日にも、コンコースを一般開放したり、グラウンドを近隣の幼稚園・保育園の散歩や運動会などに活用したりと、地域の方々が日常的に立ち寄れる場所づくりを進めています。球場でありながら、公園のように親しまれる開かれた憩いの場を目指しているのが特徴です。

さらに2027年には、レフトスタンド後方に水族館、道路を挟んだ反対側に飲食施設がオープンする予定で、これらがそろうことで東京ジャイアンツタウン全体のグランドオープンを迎える構想です。国内初となる水族館一体型の球場を中心に、スポーツ、エンターテインメント、地域交流が重なり合う場所をつくっていく。これが東京ジャイアンツタウンの大きな特徴です。
かつてジャイアンツが鍛錬の場にしていた多摩川グラウンドは、地域の人々が選手に気軽に声をかけられる交流の場でもありました。グラウンドと観客席の距離を近づけたジャイアンツタウンスタジアムには、ファンと選手をつなぎ、ジャイアンツの「心のふるさと」をここに再現したいという想いが込められています。

──ジャイアンツタウンスタジアムはグラウンドと観客席の距離が近いというのは?
奥谷氏 スタジアムの観客席は、2階席、3階席、バックネット裏周辺の独立シートも、全て前後が4列です。一般的なスタジアムのようにすり鉢状に大きく客席を積み上げるのではなく、とにかくグラウンドと客席を近づける設計にしています。ですから、どこから見ても特等席のように感じていただけるはずです。スタジアムのコンコースには多摩川グラウンド当時の白黒写真も掲出していますが、そこには、選手がファンに囲まれ、もみくちゃになるように交流している様子が写っています。ジャイアンツタウンスタジアムの設計には、ファンと選手の距離が近かった多摩川グラウンドをもう一度つくりたいという思いがありました。

──スタジアムはファームの公式戦以外にも幅広く使われていますね。
奥谷氏 年間スケジュールでも中心になるのは、もちろんジャイアンツのファーム公式戦です。屋外球場のため雨天中止もありますが、おおむね年間60〜70試合ほどをこの球場で開催します。加えて、ジャイアンツ女子チームやU-15チームの活動、秋季キャンプや二軍、三軍の練習など、ジャイアンツ関連の利用があります。一方で、スタジアムは高校野球の東京都大会、大学リーグ、中学生の大会、女子野球、ソフトボールなど、アマチュアの方々にも使っていただいています。プロ野球選手が使うグラウンドでプレーする経験が、子どもたちや学生にとって憧れになり、野球振興にもつながればと考えています。


──試合やイベントがない日はコンコースを一般開放しているということですが。
奥谷氏 はい、試合やイベントがない日は原則として毎日、球場内コンコースと観戦スタンドが無料で一般開放されています。近隣住民の散策やランニングなどに自由に利用できます。サブグラウンドも年間で150日ほど無料開放しており、野球のグローブやボールだけでなく、サッカーボール、バスケットボール、ラグビーボール、ラダー、メディシンボールなどを用意して、手ぶらでもいろいろなスポーツを楽しめるようにしています。
近隣の幼稚園や保育園の散歩コースとして使っていただいたり、地域の方がふらっと立ち寄ったりできる。民間が運営する施設ではありますが、公園のように親しまれる場所にしたいという思いがあります。開業から1年で約25万人の方にお越しいただき、累計来場者数は2026年5月現在30万人に到達しています。ファーム公式戦だけではなく、日々の開放や地域イベントが来場のきっかけを広げていると感じています。
年間を通じて人を呼び込む、イベントと地域連携
──イベント企画はどのように立てられているのでしょうか。
奥谷氏 1年目はとにかく「やってみないとわからない」という姿勢で進めてきました。夏祭り、スタジアムシネマバッティングセンター、謎解き、スタジアムツアー、ランニングイベントなど、さまざまな企画を実施しました。週末はかなり埋まってきている一方で、平日の稼働率をどう高めるかは引き続き大きなテーマです。
企画を考えるときに意識しているのは、聞いた瞬間に何をやるのかが伝わる内容とイベント名です。「夏祭り」と聞けば、縁日や屋台、盆踊りをイメージできます。「スタジアムシネマ」も、大型ビジョンで映画を見る企画だとすぐに伝わる。イベントの内容を説明する前に、まず名前で参加しやすさをつくることは、とても大事だと感じています。ただ、イベントを開催するだけでは事業として持続しません。どうスポンサーや周辺施設との連携につなげていくか。そこが、これからさらに磨いていくべきポイントだと思っています。
──地域密着型の取り組みについても教えてください。
奥谷氏 読売新聞社、読売巨人軍、よみうりランド、稲城市は包括連携協定を結んでおり、日頃から稲城市の方々とも密にコミュニケーションを取っています。よみうりランドは長年この地域で遊園地を運営してきましたし、巨人軍もここ数年、多摩地域を中心にさまざまな自治体と関係を築いてきました。地域とのつながりは、Gタウンを運営する上での大きな土台です。
地域向けのイベントは、まずはGタウンを知っていただき、楽しんでいただくことを重視しています。昨年の夏祭りでは、縁日、屋台、ステージイベント、盆踊り、ジャビットやジャイアンツグッズの販売などを行い、ジャイアンツファンだけでなく地域の方にも楽しんでいただける内容にしました。
ほかにも、地域の子どもたちが描いた絵をコンコースに飾る「Gタウン・キャンバス」、読書を楽しめる「Gタウン・ライブラリー」、使い終わったグローブを回収・再生して必要な方に届けるグローブ再生プロジェクト、300円でカレーを提供し、ジャイアンツ女子チームの選手と交流できる「みんなの食堂」などを実施しています。単に「球場があります、来てください」ではなく、来場する理由をいくつもつくっていくことが大切だと考えています。

──これまで立てられた企画で、特に印象に残っているものはありますか。
奥谷氏 「高校野球引退試合『ラストゲーム』応援プロジェクト」 はたいへんGタウンらしい取り組みだと思っています。高校の硬式・軟式野球部で引退を迎える3年生を中心に、チームの記念試合の場としてスタジアムを有料で貸し出す企画です。昨年1年間スタジアムを運営する中で、「この球場を使えないのか」という声を多方面からいただきました。高校3年生の中には、大学、社会人、プロへと野球を続ける選手もいれば、高校で野球に区切りをつける選手もいます。そうした選手たちに、プロ野球選手が使う球場で最後の思い出をつくってもらえたら、きっと一生の記憶に残るはずです。ただ、スタジアムを使用できる日数には限りがありますので、応募多数の場合は抽選として募集しました。今年2026年は、6月22日(月)〜23日(火)、7月24日(金)、8月20日(木)の4日間で開催する予定です。

看板広告から体験型プロモーションへ、広がるスポンサー価値
──ジャイアンツタウンスタジアムのスポンサープランについて教えてください。
安藤氏 プロ野球のファーム公式戦は、2026年シーズンから従来のイースタン・リーグとウエスタン・リーグの2リーグ制から1リーグ3地区制(東・中・西)へ移行しました。よみうりランドが、ジャイアンツタウンスタジアムができるまでファーム本拠地だった読売ジャイアンツ球場のイースタン・リーグ興行に本格的に携わるようになったのは2021年からです。当時から、フェンス広告を中心としたスポンサー営業に力を入れてきました。Gタウン開業にあたっては、既存スポンサーの多くにも新しいスタジアムでの掲出をご承諾いただき、現在ではフェンス広告だけで約80社、少額プランのメンバーコースも約80社、合わせて約160社のスポンサーに協賛いただいています。
──ゲームスポンサー(協賛試合)プランもあると聞いています。
安藤氏 ゲームスポンサープランは、ファーム公式戦の1試合単位で協賛いただけるプランです。いわゆる冠協賛として試合名に企業名や商品名を掲出できるほか、大型ビジョンでのCM放映、サンプリング配布、PRブースの設置など、来場者に直接アプローチできるプロモーションが可能です。対象試合の招待券も用意しており、取引先のご招待や従業員向けの福利厚生として活用いただくケースもあります。オプションで始球式を実施することもできます。
従来の読売ジャイアンツ球場時代にもプラン自体はありましたが、Gタウンが舞台になってからは、実際にやってみたいという企業が増えてきています。これまで、「共立メンテナンス」様、「京王電鉄」様、「ドコモCS多摩支店」様、「日本生命」様、「フージャースコーポレーション」様など、各社からご協賛いただいています。ゲームスポンサーは地域で事業を展開する企業にとっては地域との親和性が高く、また大手企業にとっては主力商品やサービスを来場者に直接訴求できる場になります。単なる看板広告ではなく、来場体験の中にブランド接点をつくれることが、Gタウンならではの価値だと思います。

──企業との連携で、Gタウンらしい事例はありますか。
安藤氏 京王電鉄様とは、沿線全体を盛り上げるという視点で連携しています。Gタウンの最寄り駅は京王よみうりランド駅ですので、スタジアムに人が集まることは、沿線の利用促進にもつながります。具体的には、京王線の駅を利用してスタジアムに来場し、現地でQRコードを読み込むことでポイント施策につなげるような企画があります。駅を通過し、スタジアムに来場し、現地でアクションを起こす。こうした一連の行動をプロモーションに組み込めるのは、スポーツ施設であり、街の目的地でもあるGタウンならではだと思います。

これからのスポーツ広告は、単に看板を掲出するだけでなく、来場者の行動や体験と結びつく形へと進化していくと考えています。Gタウンは、試合観戦に加え、イベント、交通、飲食、地域回遊までを一体的につなげられる場所です。企業にとっては、ブランドを「見る」だけでなく「体験してもらう」ための新しいフィールドになり得ます。また、ジャイアンツタウンスタジアムでは、野球の試合に限らず年間を通じて多様なイベントが開催されます。今後は水族館や飲食施設も加わり、来場目的や滞在時間の広がりも期待できます。こうした成長性を含め、企業の皆さまからの関心は今後さらに高まっていくと感じています。
水族館・飲食施設の開業で広がる東京ジャイアンツタウンの可能性
──2027年に予定されている水族館についても教えてください。
奥谷氏 水族館のテーマは「生きものの世界を人が訪れ、同じ時間を共に過ごす」です。人間が魚たちの世界にお邪魔するような感覚で、多摩川から海へ、浅瀬から深い海へとつながっていくストーリーを体験していただく構成を予定しています。
見どころの一つは、サンゴ礁をテーマにした大水槽です。360度見渡せる透明の水中回廊を歩きながら、海の中に入っていくような没入感を味わっていただける計画です。館内には多摩川エリア、クラゲエリア、アシカ・ペンギンエリアなどを設け、日本で初めて公開されたシーラカンスの標本展示など学術的な展示もあり、見ごたえたっぷりな内容になる見込みです。よみうりランドは、1964年から2000年まで遊園地内で「マリンドーム海水水族館」を運営していました。当時は海水をトラックで運んでいたと聞いています。今回は人工海水を活用し、海に面していない内陸型の水族館として、新しい挑戦になります。

──水族館が加わることで、東京ジャイアンツタウン全体の人の流れも変わりそうですね。
奥谷氏 大きく変わると思います。水族館が開業すると、レフトスタンド側にも新たなゲートができ、水族館からスタジアムの2階コンコースへ上がれるような動線を整備する予定です。さらに、道路を挟んだ飲食施設ともデッキでつながる計画です。横断歩道で下に降りるのではなく、空中でつながるようなイメージです。野球に関心がある方だけでなく、水族館を目的に来る方、飲食を楽しみたい方、遊園地や温浴施設、植物園とあわせて訪れる方など、客層はさらに広がるはずです。逆に、野球を観に来た方に水族館へ行っていただく、水族館に来た方にスタジアムを歩いていただく。そうした相互送客の知見を、今のうちから積み上げていくことが重要だと考えています。
──地域や企業との連携について、今後の展望を聞かせてください。
奥谷氏 東京ジャイアンツタウンは読売新聞社のメディア発信力、読売巨人軍のブランド力、よみうりランドの施設運営・地域連携のノウハウを掛け合わせるプロジェクトです。ただ、3社だけで完結するものではありません。行政、地域の方々、沿線企業、スポンサー企業など、多くの仲間と一緒に育てていく場所だと考えています。今の時代は、子どもたちが本物に触れる機会や地域の中で多様な経験を積む機会が以前より大切になっていると感じています。野球を中心にしながらも、教育・文化・地域交流を含めて、子どもたちが夢や挑戦に触れる機会を増やし、スポーツを通じて学びや成長につながる環境をつくっていきたいと思っています。
安藤氏 稲城市にとっては、この丘の上に集まった人を市内の施設や地域のにぎわいにつなげていくことがテーマになります。京王電鉄様にとっては、沿線利用や周辺エリアの活性化につながる。企業にとっては、単なる広告掲出ではなく、来場者の体験に入り込むプロモーションの場になる。Gタウンが持つ機能を、それぞれの立場から活用していただける余地があります。
奥谷氏 理想は、東京ジャイアンツタウンが「野球を観る場所」にとどまらず、「何度も訪れたくなる街」として育っていくことです。スポーツ、レジャー、教育、地域交流、広告、ビジネスが重なり合う場所として、これからも新しい価値をつくっていきたいと思います。
