HINTS課題解決のヒント
「体験デザイン」を軸に事業領域を拡大 YBSとの共創で生まれる体験とは【コンソーシアムパートナーズ③】
読売新聞の信頼性を基盤に、読売グループの多彩な機能や知見を掛け合わせ、企業や社会の課題解決を支援するYOMIURI BRAND STUDIO(以下、YBS)。その大きな特徴の一つが、それぞれ異なる専門性を持つコンソーシアム企業との連携だ。多様な知見を組み合わせることで、クライアントごとの課題に応じた最適なソリューションを提供している。
イベントやプロモーションの企画制作を手がけてきた株式会社テー・オー・ダブリュー(TOW)もコンソーシアム企業の一社。同社は「体験デザイン」を起点に、「プロモーションとリアルエンタメを横断するエクスペリエンス・パートナー」という中期事業成長ビジョンを掲げ、従来のイベント制作の枠を超えた事業領域の拡大を進めている。
いまや、イベント制作の先へ踏み出すTOW。そして、読売新聞社と組むことで何が可能になるのか。読売新聞社との協業にも携わる、株式会社テー・オー・ダブリュー パブリックアカウント室室長の北川和也氏と、同室の玉山優衣氏に話を聞いた。

(右)株式会社テー・オー・ダブリュー パブリックアカウント室 玉山 優衣氏
「体験デザイン」を起点に、感動や共感を届ける
――まず、TOWの現在の事業領域について教えてください。
北川氏 事業領域の軸になるのは「体験デザイン」です。昔から使っている言葉で、生活者を含めた人の体験をデザインしていく、という意味を込めています。この体験デザインを起点に、プロモーション領域とリアルエンターテインメント領域の2つを横断しながら、生活者に感動や共感、ワクワクを届けていく。
それによって目指しているのが、クライアントのブランド価値や事業成長に中長期的に貢献する「エクスペリエンス・パートナー」です。体験デザインを軸にしながら、クライアントの事業に貢献し、社会課題の解決にもつなげていくという考え方ですね。

――一般的なイベント制作会社との違いは、どこにあるのでしょうか。
北川氏 一般的なイベント制作会社は、ある程度内容の決まった企画を実現していくことが中心だと思います。一方、私たちはイベントの内容を具体的に考える前から、企画づくりに関わっていきます。民間企業であれば、クライアントが何を実現したいのか、どのような課題を抱えているのか。一般のお客様向けであれば、どのようなワクワクや新しい魅力を届けられるのか。そうしたことを考えながら、企画をつくっていく。そこが違いなのかなと。
そして、考えた企画を実際のイベントやプロモーションとして形にするところまで担えることも、私たちの強みです。クライアントの事業の成功も一緒に考えながら、企画と実施の両面で関わっていきたいと考えています。
玉山氏 そういった企画内容を提案できるプランナーが社内にいることも大きいと思います。
北川氏 体制面で言うと、当社はいわゆる4マス媒体の買い付け以外は、ほとんど手がけています。映像制作もやりますし、デジタル広告や交通広告、広報にもそれぞれ専門の人間がいます。テレビなどのメディアの買い付け以外は、ほとんど自分たちで対応できる形です。
体験デザイン本部には、映像やデジタル、アートディレクターといった専門職種の人間がたくさんいます。ほかにもSNSの運用を専門にしている人間や、デジタル広告を担当する人間もいるので、全部を一緒に手がけることもありますし、そういうケースが増えてきています。
ただ、すべてを内製しているというより、プロデュースする立場です。協力会社さんとも一緒に体制を組みながら進めています。

「リアルエンタメ」を次の成長の柱に据える理由
――現在、TOWが特に力を入れている「リアルエンタメ」とは、どのような領域なのでしょうか。
北川氏 当社グループは、生活者が能動的にお金や時間を使って参加し、共感や熱量が広がっていくリアルエンターテインメント領域の拡大を、次なる成長の柱に位置づけています。
当社はもともと広告業界で成長してきた会社です。広告会社やマスコミ業界のクライアントとともに、民間企業のマーケティング活動を支えるプロモーション領域、特にイベントプロモーションを中心に大きくなってきました。
それが今、プロモーションやマーケティングの仕事と、音楽やIPなど、生活者が直接お金を払って楽しむリアルエンターテインメントの境界が曖昧になってきています。読売さんと過去に取り組んだ銀座やお台場のイルミネーションイベントのように、地方創生や観光活性化といった行政の課題解決につながる仕事もありますし、当社が興行主となってアートイベントを開催するケースも出てきました。
リアルエンタメの強化にあたっては、「IPコンテンツ」「スポーツ」「音楽」「食」「都市・商業施設」という5つのカテゴリーを設けています。そこで「リアルエンタメユニット」をつくり、カテゴリーごとに全社横断のチームを置いています。IPの領域では、IPに非常に強いDeNAさんと業務提携を結んで「REACT」という組織をつくり、当社から出向しているメンバーもいます。

――「食」もリアルエンタメの重要な領域なのですね。
北川氏 フードフェスを運営するブルースモービルが、当社グループに加わりました。「大つけ麺博」など、大型のフードフェスを手がけている会社です。リアルエンタメの中でも食分野はまさに興行型のイベントで、力を入れています。
経験値が「絶対に失敗できない現場」を支える
――実際のプロジェクトでは、TOWの強みはどのように発揮されていますか。
北川氏 読売さんと取り組んだ銀座のイルミネーションでは、銀座通りと晴海通りの街灯に取り付けるイルミネーションのデザインと制作を担当し、イルミネーション全体の点灯式も一緒に手がけました。
1カ月以上にわたり、銀座通りを行き交う人の頭上に取り付けるイルミネーションです。安全性は非常に重要でした。しかも、関係するステークホルダーがとても多い案件でした。向き合う相手は商店街の連合会だけではなく、そこに加盟する多数のハイブランドもあれば、銀座にいくつもある商店街の組合もある。読売さんにそうした様々なステークホルダーと向き合っていただきました。

絶対に失敗できない、絶対にクレームを起こしてはいけない事業でしたから、安全への配慮や、警察・行政との調整をかなり綿密に進めました。われわれと読売さんとがタッグを組み、それぞれの強みを活かすことで、銀座の街を活性化するという大きなプロジェクトに、しっかり貢献できたと思っています。
大規模な案件では、安全性を確保するだけでなく、関係者との調整や予算上の制約にも対応する必要があります。銀座のイルミネーションでも、決められた予算の中で必要な安全対策を講じ、主催者の要望に応えながら実施体制を整えました。こうした複数の条件に対応できることが、経験を重ねてきた私たちの強みだと思います。
玉山氏 私は入社して1年ほどの頃に、読売さんとご一緒した東京都の「SusHi Tech Tokyo」に、アシスタントとして参加しました。会期の長い超大型の案件は初めてで、会場も広く、どこで何が起きているのかを把握するのも大変でした。私はステージ周りを担当し、出演者の入れ替えや台本制作、日々変わるスライドの差し替え、各エリアの中継映像を大型モニターに映すといった細かな進行に携わりました。
こうした進行業務に加え、大規模なイベントでは、施工や映像、屋内・屋外といった会場の条件によっても、求められる対応が変わります。「SusHi Tech Tokyo」では、長年イベントを手がけてきた先輩たちが現場を支えていました。会場の特性やイベントの規模に応じて対応できるのは、経験を積み重ねてきたからこそなのだと実感しました。
東京都とのコミュニケーションも、読売さんと一緒にワンチームで進めていました。クライアントとのコミュニケーションにもしっかり向き合う点も当社の特徴だと思います。東京都からも「いいチームだ」と評価していただき、とてもいい経験になったと思っています。

「もっと知りたい」パートナーとしての読売新聞
――読売新聞社との仕事には、どのような特徴を感じていますか。
北川氏 SusHi Tech Tokyoで初めてご一緒したとき、得意先や当社、何よりイベントそのものへの読売さんの責任感を強く感じました。これまでは媒体社のイメージが強かったんですが、協業するパートナーとして、イベントへの理解もお持ちでしたし、お互いがやることの線引きも、とても分かりやすかったですね。
玉山氏 お台場で何度か一緒にイベントを実施していますが、周辺の商業施設と連携するケースがとても多いのです。当社ではなく、読売さんがドアノックすることで、毎回スムーズに施設とコンタクトをとることができています。銀座のイルミネーションでも多くの商業施設と連携しましたが、読売さんにきちんと話をつけていただき、細かいやり取りはこちらで引き取る。その分担で、すごくスムーズに進められたと感じています。
北川氏 新聞だけでなく、グループも含めたメディアとしての力があるのは、やはり強いと思います。

――今後、読売新聞社とどのような取り組みに挑戦していきたいですか。
玉山氏 まだまだ、私たちが知らない読売さんのリソースや強みがたくさんあると思っています。単なる「メディアパートナー」としての新聞社ではなく、ビジネスやイベントをより良いものにしていくためのパートナーとして連携できるよう、読売新聞をもっと知りたいと思っています。
北川氏 たとえば、有識者の方とのネットワークは大きいと思います。行政や中央省庁の案件でシンポジウムやセミナーを実施する際、私たちは一からネットで検索して、有識者の方に当たっていくこともあります。読売さんには様々な業界・分野に強みをもつ記者の方がいて、その記者の方がさらに有識者の方ともつながっている。
当社が単独で受注している案件でも、読売さんの力を組み合わせることによって、よりよいアウトプットになっていくのではと思うものもあります。新聞社との協業経験を活かし、より一層の案件獲得を目指していきたいと思っています。