El turrón y otros dulces españoles伝統菓子「トゥロン」などのスパニッシュ・スイーツ

©ICEX/Becky Lawton

Introducciónはじめに

スペインの伝統菓子
「トゥロン」って？

カジュアルに楽しめ、かつ絶品の味わいの食がそろうスペインは、スイーツももちろん格別。「カタラーナ」や「フラン（プリン）」など、日本のお店で人気のものもありますが、伝統菓子の「トゥロン」を知ってますか？ ナッツをたっぷりと使用した菓子で、スペインではクリスマスシーズンによく食べられます。近年では、伝統的なものからアレンジされたものまでさまざま。連載5回にわたるコースの“締め”として、バラエティーに富んだスペインのスイーツをご紹介します。

Curiosidades豆知識

  1. ©ICEX/Fernando Madariaga

    01

    トゥロンの歴史は
    500年以上

    諸説ありますが、8世紀にムーア人がアーモンドなどの果樹を多く植えたアリカンテのヒホナは、トゥロン発祥の地とされています。現在、この地域では、500年以上前のレシピに基づき、蜂蜜、砂糖、ローストしたアーモンド、卵白などシンプルな原料のみで2種類の伝統的なトゥロンが生産されています。

  2. ©ICEX/Juan Manuel Sanz

    02

    トゥロンを分けるのは
    “堅さ”

    トゥロンは、堅さで呼び名が変わります。「トゥロン・ブランド（Turrón blando）」は、砕いたアーモンドと蜂蜜を混ぜ合わせ、練った生地のような食感にしたのが特徴です。「トゥロン・ドゥロ（Turrón duro）」は、軽くローストした丸ごとのアーモンドと蜂蜜を使っており、時には力を入れないと割れないほど堅いのが特徴です。

  3. ©ICEX/MSTUDIO

    03

    新たな味が
    毎年登場！

    伝統的なトゥロンはみんな大好き。でも、毎年登場する独創的なトゥロンも見逃せません。ココナッツや洋酒を使ったアレンジや、チョコレートでコーティングされたものなど、伝統の味にとどまりません。

En detalleコラム

たくさんの魅力的な顔をもつ、スペインの食文化。

スペインの料理はどれも素材を大切にした温かみのある味わいで、心まで元気にしてくれます。それは料理だけでなく、スイーツも同じ。最終回は、伝統のお菓子を中心に、スイーツでスペイン気分を味わってみましょう。

朝食やデザート、おやつ、イベント用まで、スペインでもたくさんのスイーツが日々を彩っています。なかでも数多くの伝統菓子は、キリスト教の祝祭と結び付いて、スペインの暮らしに根付いてきました。
日本でも知名度が上がってきた「クレマ・カタラーナ」は、カスタードの表面がパリッとしたカラメルでコーティングされたもので、聖ヨセフの日に食べられます。「アロス・コン・レチェ(スペイン風ライスプディング)」は、スペインの定番デザート。米と牛乳、シナモンを使ったスイーツです。スペイン風フレンチトースト「トリハス」は、セマナサンタ（聖週間）の時に食べられるスイーツ。牛乳と溶き卵にひたしたパンを揚げるシンプルなスイーツです。ガリシア地方の伝統菓子「タルタ・デ・サンティアゴ」は、聖ヤコブの十字架のマークが刻まれたアーモンドケーキで、修道士が作るお菓子として親しまれた事が起源です。

では、クリスマスの伝統菓子はご存知でしょうか。日本でもクリスマスシーズンになると、ケーキをはじめとしてさまざまなスイーツがショーウインドーを賑わせますが、スペインでは街中すべてのスイーツ店に「トゥロン」が並びます。最近はクリスマスではない時期にも食べられるようになりましたが、やはり本番はクリスマス。昔ながらのほっとするトゥロンの甘さは、スペイン人にとって温かい家庭の記憶でもあります。
実は、トゥロンの原型となるお菓子は、アラブ生まれといわれます。スペインは歴史的に、ヨーロッパとイスラム圏の両方から影響を受けて生まれた文化が多く、トゥロンもそのひとつ。材料である蜂蜜、砂糖、アーモンドは、アフリカ北西部のムーア人がよく使った素材で、今もその製法が受け継がれているのです。アーモンドは、世界最高級といわれる固有品種「マルコナ」を使用するのが一般的です。

伝統的な品種に加え、近年ではトリュフ、チョコレート、フルーツ、リキュール、卵黄などを使ったものも開発され、スペインのスーパーマーケットで手に入るようになり、人気を博しています。伝統を揺るがす革新的な味のトゥロンも必見です。
スペインの伝統スイーツは、まるでスペインの人々の温かい人柄に触れたように、心をほっとさせてくれます。愛され続けるスペインの伝統スイーツをぜひ家でも味わってみてください。今年のクリスマスは、トゥロンと甘めのお酒を片手に、スペイン気分でお祝いしてみては。

Maridajeペアリング

  • ©ICEX/BeckyLawton

    この写真はペアリングのイメージです。

    ※お酒は20歳になってから

    カヴァ（カバ）とトゥロンのペアリング

    これは最も伝統的な組み合わせで、スペイン人が何千年も前から記念してきた特別な日、クリスマスへといざないます。カヴァのグラスとトゥロンが乗ったお皿は、スペイン家庭のクリスマスシーズンの典型的なイメージです。クリスマスの味をご家庭で味わってみませんか？
    カヴァのボトル（できれば甘口）を開けて、トゥロンを食べれば、スペインに直行できます。

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    ※お酒は20歳になってから

    梅酒とトゥロンのペアリング

    カヴァだけでなく、ワインや甘い飲み物にもよく合います。ここでは、梅酒のロックや水割り（お好みで）で試してみてください。梅酒の甘さとアーモンドやハチミツの味がとてもよく合い、スペインのスイーツと日本のお酒がマリアージュしたデザートです。

  • この写真はペアリングのイメージです。

    ほうじ茶とトゥロンのペアリング

    クラシックなトゥロンの主原料であるアーモンドは、ミルク入りほうじ茶など、焙煎（ばいぜん）した風味と調和します。ほうじ茶を入れて、暖かいブランケットに包まれながらトゥロンを楽しむ。アルコールを飲まない人や、家でゆっくり過ごす日のための、甘くて温かいデザートです。

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