FACT CHECK PROJECT

シエンプレ株式会社

コロナ禍を機に全世界的に発生している、フェイクニュースやデマなどの「インフォデミック」の対策を民間主導で検討する『インフォデミック対策プロジェクト』。Siemple社は、日本語を高性能で分析することができる独自のAIを用いた情報の真偽確認や、5年以上警察庁のサイバーパトロールを受託している実績から、より深く踏み込んだファクトチェック体制を構築、さらにファクトチェッカーを育成することを提案している。

Siemple社は2008年設立。インターネット上の炎上や誹謗中傷などさまざまなデジタルクライシスに対して、炎上予防コンサルティング、火種早期発見、沈静化対策などを行うほか、SNSや口コミサイトに表れるユーザーの不満、要望の声を収集分析し、業務改善に役立ててもらうなどの業務を行っている。また、2014、15、18、19、20年度と5年にわたって、警察庁のサイバーパトロール業務を受託している(16、17年度は公募なし)。そのため、一般の人の目に触れにくかったり、暗号が使われていたりして、違法行為の情報などがやりとりされる、いわゆる"ダークウェブ(闇サイト)"も調査できる能力と実績を持っている。

通常の監視システムでは、「ひどい」「最悪」といったネガティブなキーワードを含む文章があれば自動的に「ネガティブ」と判定されている。だが、最後に「でも私はこれが大好きだ」といった文章があっても、「ネガティブ」とされていることが多かった。Siemple社の独自AIによる新システムでは、ネガティブなキーワードが入っていても、一番強いポジティブな意思が含まれる文章があった場合、「ポジティブ」と判定できる。

月約4万件のデータ仕分け作業を行う場合、人の目で仕分けると3人が対応して約72時間が必要だった。だが、新システムは同じ件数をシステム操作の1人だけで、わずか3分で仕分けできる。大手旅行代理店のモニタリングでのテスト結果によると、仕分けの精度は96%以上だった。仕分けの際にネガティブ、ポジティブ、ニュートラルと3段階で分けるだけでなく、たとえば旅行会社なら「旅行プラン」「人事採用」「プロモーション」など、データを5種類のカテゴリーに分けることができる。

具体的には、ツイッターなどの疑義言説を収集しているNPO法人「FIJ」のデータベース「クレイムモニター」からのデータ提供、ユーザーからの情報提供のほか、自らサイバーパトロールを行うなどして疑義言説を収集。独自のAIシステムによってチェックする。さらに同社の専門要員がその結果を見て判断する。同社では「アカウントの信頼性など、最終的には人の判断が必要」だとしている。

いつもおかしなことをツイッターなどで発信している人が、必ず間違いを言うとは限らない。そうしたことから、社内のメイン・チェッカー3人が同じ情報を見て、合意で最終判断することにしている。

また同社では、警察庁サイバーパトロールの実績やアカウントプロファイリングの経験から危険アカウントや暴力団などに所属せずに犯罪行為を行う「半グレ」などの膨大なデータの蓄積があり、事象ごとにまとめている。このデータを活用することで、より精度が高く詳しい分析、調査を行うことができる。

情報のファクトチェックのほか、Siemple社では、ファクトチェッカーの育成を行うことも検討している。

具体的には、「情報収集スキル」「ファクトチェックスキル」が習得できるオンライン講座を開講する。社内でファクトチェッカーを育成してきたノウハウを用い、1か月を目安とした育成を目指している。また、講義内容の一部をインターネット上で無料公開し、最低限のファクトチェックを誰もが行えるようにすることを目指している。

同社では、2020年1月に「シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所」を設立。2019年に発生した約1200件の炎上事例を調査し、その結果を「デジタルクライシス白書」としてまとめた。2回目となる今年の白書では炎上事例の調査だけでなく、日本における疑義言説についての分析も行っている。こうした実績を人材育成に結びつけたいとしている。

シエンプレ株式会社

シエンプレは、2008年設立のデジタル・クライシス&サイレントクレーム対策事業を展開しています。
多くの人から厳しい批判・非難がネット上に蔓延し(炎上)、または予期せぬデマなどのインフォデミックにより、業績・採用・ブランドに『想定を越える』大きな毀損が生じる事態を、我々は「デジタル・クライシス」と呼んでいます。
このデジタル・クライシスを予防・監視から対策まで網羅的なソリューションの提供に取り組んでおります。

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