FACT CHECK PROJECT

特定非営利活動法人ファクトチェック・イニシアティブ

コロナ禍を機に全世界的に発生している、フェイクニュースやデマなどの「インフォデミック」の対策を民間主導で検討する『インフォデミック対策プロジェクト』。FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)は、ファクトチェック(真偽検証)を担う人材の育成、ファクトチェックの過程・結果、再評価を集約した統合データベースの構築を目指している。

FIJは、社会に誤った情報が広がるのを防ぐ仕組みを作ろうと、ジャーナリストや専門家ら10人の呼びかけで2017年に任意団体として設立。18年に特定非営利活動法人として認証された。

FIJは、真偽不明情報(疑義言説)を捕捉する手がかりとなる情報(端緒情報)をAIである「FCCシステム」で自動的に収集。訓練を受けたスタッフがその情報を一つ一つ確認し、ファクトチェックの対象候補となり得る疑義言説をピックアップして、「クレームモニター」というデータベースに登録する作業をしている。ここに登録された情報をメディアなどがファクトチェックし、その検証結果を記事化している。2020年にクレームモニターに登録された疑義言説は2615件あり、そのうち162件がBuzzFeedなどのメディアパートナーで記事化された。FIJは会員の会費や各種団体の助成、寄付で運営され、メディアパートナーには無償で情報を提供している。

2018年には琉球新報などが参加して、このFCCシステムを沖縄県知事選で運用、疑義言説をピックアップした。昨年の米大統領選では、FIJがクレイムモニターで「トランプの票を大量に廃棄、埋めた」との疑義言説を通知し、それをもとにBuzzFeedが検証し、誤りであると記事化した。

今回のインフォデミック対策プロジェクトでは、VISITS社と共同で、ユーザー参加型ファクトチェックサービスの実証実験を行った。具体的には、まだファクトチェックされていない真偽不明情報をピックアップして提供。それを実証実験に参加した学生らが真偽を判定する作業を実施。VISITS社は複数の参加者が判定し、それを相互に評価し合うことで、確からしさを数値化するAIを用いて、正しいは「青」、間違っているは「赤」、判定できないは「黄色」など分かりやすく可視化して情報を掲載するシステム作りを目指している。

FIJは、信頼できるファクトチェックを実践できる人材や、ファクトチェックの信頼性を公正に評価できる人材を育成、認定するシステムを作り、そうした人材をメディアに供給するとともに、ファクトチェックの成果に経済的インセンティブを付与する仕組みの検討、構築を目指している。さらに、自動収集システムが捕捉した情報、ファクトチェックの対象言説、ファクトチェックの過程・結果、再評価を集約した統合データベースの構築も検討している。

FIJは、「まず怪しい情報を可視化するモニタリングの役割をしている」としており、「怪しいと思われる情報を見極めて、より多くの人が共有することで、誤った情報の拡散を抑止する」ことを目指している。

ただ、現在運用中のFCC(疑義言説収集システム)は自動的に端緒情報を収集することができるが、真偽が怪しい情報を登録するクレームモニターとは切り離されたシステムとなっている。つまり、FCCが集めた情報には、影響の少ないものが多数含まれており、実際にクレームモニターに登録されるのは、人の目を経た情報になっている。このため、FCCでは瞬時に情報が収集されるが、クレームモニターに登録されるにはタイムラグができてしまう。このタイムラグをなるべく小さくするのが、今後の課題となっている。

特定非営利活動法人ファクトチェック・イニシアティブ

FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)は、ファクトチェックの普及活動を行う非営利団体です。
誤情報や真偽不明の情報が拡散し、社会的分断への懸念が高まる中で、ファクトチェックをジャーナリズムの重要な役割の一つと位置づけ、社会に誤った情報が拡がるのを防ぐ仕組みを作っていこうと、2017年、ジャーナリストや専門家ら10人の呼びかけで発足しました。
私たちは、担い手となるメディアパートナーのネットワークを広げつつ、市民とともに、モニタリング情報の提供などを通じてファクトチェック活動を支援し、活性化させる仕組み作りをしています。

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