広告企画・制作 YOMIURI BRAND STUDIO

TOKYO GREEN BIZ

Vol.1

2024/1/31

若者と対話重ね、自然と調和した都市像探る
東京グリーンビズ

気候変動への適応や、新型コロナウイルス感染症を契機とする緑空間に対するニーズの変化など、都市の緑に求められる機能や、緑に対する人々の価値観は多様化してきている。
東京都では、これまでも緑を増やす取り組みを推進してきたが、100年先を見据えた新たな緑のプロジェクト「東京グリーンビズ」を昨年夏に始動。東京の緑を「まもる」「育てる」「活かす」取り組みを強化し、自然と調和した持続可能な都市への進化を目指す。
プロジェクトを推進するにあたり、東京都ではさまざまなステークホルダーとの対話を重視し、コミュニケーションの機会を多様な形式で設けている。本企画では、その対話の内容や外部有識者からの声などを3回にわたって特集する。
第1回は、若い世代との取り組みを紹介する。

Vol.2 都心ならではの緑の価値広める 東京グリーンビズ

Vol.3 一人ひとりの参画が、未来を駆動する── 緑と生きる都市、東京へ

若者がプレゼン 緑の取り組みアイデア

「東京グリーンビズ」は、自然と人、人と人とをつなぎ、豊かな緑と都市を未来の世代へ継承することを目標に掲げている。その未来の世代となる若者たちの声を、東京都は積極的に取り入れている。
昨年11月には、10~20代のプレゼンテーター4名が「みどりと生きるまちづくり」のアイデアを発表するイベントを開催した。
イベントには、「東京グリーンビズ」を担当する東京都政策企画局の古谷ひろみ局長と、「東京グリーンビズ」アドバイザリーボードメンバーで東京大学先端科学技術研究センター研究顧問の小林光氏も登壇し、プレゼンテーターと意見交換を行った。
プレゼンテーターからは、東京都が行う自然体験学習の周知方法の提案や、都心の公園を活用した自然体験の機会創出案、間伐材を活用するアイデアなど、東京都が抱える課題に対するさまざまな提案が行われた。
ほかにも、地域づくりに気軽に参加できるデジタルプラットフォームの提案や、緑あふれるまちづくりの活性化にARや生成AIを活用するアイデアなど、デジタルネイティブ世代らしい提案もあった。
プレゼンテーター一人ずつに対して、古谷局長と小林氏からは、「アイデアを聞いてワクワクした」「目の付け所がいいですね」といった感想や、「都民にどう呼びかければ効果的か教えて欲しい」と意見を求めるほか、「発表にあった通り、昔はどんな環境だったかを知らずして自然との共生はうまくいかない」と発表内での指摘に共感するコメントもあった。
プレゼンを行った柴真緒さん(大学院生)は、「これまで、自分のアイデアを提案して、専門の方から直接アドバイスをもらえる機会があまりなかった。準備段階から東京都職員の方とやり取りし、以前はお堅いイメージがあったが、対等に意見を聞いてもらえた。農学の研究をしており、研究結果は途上国で活かしたいと考えていたが、東京都でも活動したいと思った」と感想を述べた。
伊藤正人さん(会社員)も、「以前はアイデアが浮かんだとしても、どこに言えばいいのかわからなかった」と明かす。「東京都の方は、アイデアを聞いてくれてアドバイスもくれる。懐の広さを感じた。とりあえず発表してそれで終わり、ではなく熱心に耳を傾けてくれるので、またぜひアイデアを考えたい」と笑顔を見せた。

若者と都職員 対話生まれ意識に変化

プレゼンテーション終了後は、プレゼンテーターと観覧者、東京都職員など関係者との交流の機会が設けられた。
プレゼン内容について質問したり、最近取り組んでいることや気になる社会課題について、和気あいあいと語り合ったりする姿が見られた。
プレゼンテーターの鳥井要佑さん(大学院生)は、「若い環境アクティビストと行政の接点は少ない。それぞれの想いが一方通行になっている印象。若者と行政が一緒に話すことが、課題解決のスタート地点だと思う。東京都のアドバイスをうまく使いながら、緑化に向けた活動を推進していきたい」と話す。
同じくプレゼンテーターの米澤友基さん(大学生)は、「このイベントを通じて、東京都に対する距離感が近くなった。政策を自分たちの力で動かせるという実感を得た。東京都は若者に歩み寄ってくれるのだから、自分たちも頑張って勉強していかなければ」と思いを新たにしたという。
観覧した参加者からも、「若者をはじめ都民の考えを政策プロセスのなかに取り入れてもらえることが重要」「都民と行政がフラットな関係でいられれば、課題解決のスピードアップができるはず」「いろんなバックグラウンドを持つ人たちとの交流が、自身の活動の刺激になった」といった声も聞かれた。
発表されたアイデアのなかには若者らしい型破りな印象のものもあったが、古谷局長、小林氏からの評価はいずれも高く、東京グリーンビズの取り組みに活かされることが期待される。

子ども・大学生対象アンケートも実施

ほかにも、東京グリーンビズを進めるにあたり、東京都では子どもや大学生へのアンケートを実施している。
昨年10月、西新宿と上野恩賜公園で18歳以下の549名を対象に行ったアンケートによると、「今後緑が増えてほしい場所」として回答が多かったのは、道路、家の庭やベランダ、水辺(海や川の近く)で、「普段緑を多く見る場所や緑が増えて欲しい場所でしてみたいこと」の1位は自然観察、2位はペット・友達と遊ぶ、3位はスポーツであった(2023年東京都)。
また、東京都立大学の学生137人に、「『みどりと生きるまちづくり』を進めるためにどのような取り組みが必要か」をアンケートしたところ、グリーンインフラ、民間施設の植栽や壁面・屋上の緑が必要との回答が多かった(2023年東京都)。
学生回答者からは、「人々が自然(みどり)を嫌う最大の理由は虫であるため、虫対策が必要」「水害対策や猛暑対策を兼ねて、緑を増やすべき」「町の中心部や目につく所の緑を増やすことで都民一人一人の意識の向上に繋がっていくのではないか」といった声が寄せられた。
東京都政策企画局計画調整部の園田一敦計画調整担当課長は、「100年先を見据えたプロジェクトなので、若い世代の声を積極的に取り入れていきたい。寄せられたアイデアは実現可能性を検討するなど、一つひとつの意見を真摯に受け止める」と語った。
東京都では、引き続きさまざまなかたちで若い世代からの声を集めながら、東京グリーンビズを推進していく。

プレゼンテーションイベント「みどりと生きるまちづくり」
東京グリーンビズ