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秋葉淳一ダイワロジテック代表取締役社長

「これまでの物流施設の常識を打ち破り、全く新しい形を作る」。大和ハウス工業が開発した国内最大級のマルチテナント型物流施設「DPL流山Ⅰ」(千葉県流山市)は、物流施設の概念を変えようとする同社グループの挑戦、変革への強い思いが結実して誕生した。
大和ハウスグループの秋葉淳一・ダイワロジテック代表取締役社長は語る。「流山は国内外へのアクセスの良さのほかに、もう一つの強みがあった」。東京駅から宮城県仙台市までを結ぶ常磐自動車道の「流山IC」から約2.7kmと近く、成田国際空港や羽田空港といった空路、東京港といった海路へも便利でアクセス面で絶対的な優位性を持つことができる。それとともに注目したのが、流山市は子育て世代の流入が多く、若年人口の割合が増えている「若い街」ということだった。

秋葉淳一ダイワロジテック代表取締役社長

流山市は2005年に市内と東京都心を結ぶ「つくばエクスプレス」(TX)が開業したのを機に、子育て環境の整備や女性の創業支援といった施策を打ち出した。結果、女性や子育て世代からの人気が高まり、都心部からの人口流入が増えた。つくばエクスプレス(TX)「流山おおたかの森」駅に直結したビルには「送迎保育ステーション」があり、園児をバスで市内の保育所へ送迎するといった市独自のサービスも話題を集めた。
マルチテナント型物流施設「DPL流山Ⅰ」の敷地面積は6万6580平方メートル、建物は4階建てで延床面積は15万1368平方メートルに上る。複数の企業が1棟の建物に入居するマルチテナント型で、2階部分の運営をダイワロジテックが行う。

施設内に託児スペース、
国内最大規模600人収容へ

大型の物流施設で現在、最も大きな課題となるのが、働く人の確保だ。ここで、大和ハウスグループの「挑戦」として、「人」に対する一つの答えを導き出した。
大和ハウス工業が着目したのは、流山市内に住む子育て世代の母親だ。「場所柄、お父さん方が東京都内に出勤し、お母さん方はお子さんと市内に滞在しているケースが多い。このお母さん方にとって働きやすい職場を作ることができたらと考えた」と、村上泰規・大和ハウス工業東京本店建築事業部第一営業部営業第二課課長は語る。
そこで打ち出したのが、「お母さんが施設のどこかにいて、子どもは見守りスタッフと一緒に遊ぶ。子どものそばで働ける職場」とのコンセプトだ。託児スペースを併設したオフィスを展開する「ママスクエア」(東京都港区、藤代聡社長)と提携し、施設内に託児スペースを設けることにした。敷地内のすべての施設が完成した際には、全体で約600人を受け入れることができる国内最大規模の託児スペースが出現する。

ママは子どもと一緒に出勤
→ 働き方改革も

託児スペースは、大和ハウス工業が業務委託をする形で「ママスクエア」が運営する。母親は子どもと一緒に出勤して仕事をし、仕事中、子どもは施設内の託児スペースで過ごす。「ママスクエア」との提携について、村上泰規・大和ハウス工業東京本店建築事業部第一営業部営業第二課課長は「子どもが生まれたばかりの層に目を向けると、保育園に子どもを預けて働きたくても、定員の問題などで預けることができず、働いていない人は少なくない。託児スペースの利用とパート社員の採用をリンクさせた『大和ハウスモデル』を作ることができた」と説明する。
長く働いてもらうために、子どもが成長して手を離れた際など、希望すれば、正社員として採用する道を作る考えだ。託児スペースのほかにも、ユニフォームは明るい色調のデザインを採用し、カフェテリアを設けるなど働く女性の割合が高まることを意識している。施設内は、空調設備を充実させてオフィス空間に近づけることで、より働きやすい環境づくりを目指している。

ロボット・AIを活用、
女性に選んでもらえる職場環境

世の中全体の人手不足とは別に、物流業の仕事自体を女性に選択してもらえない面がある。施設の中身から業務オペレーションまで、これまでのイメージをどう変えていくか。女性が働きやすい職場環境を作ることが現在の物流業の課題解決につながるとの判断もある。秋葉淳一・ダイワロジテック代表取締役社長は、「物流に関わる仕事は、『きつい』『帰れない』『お給料が安い』として『新3K』といわれている。では本当にきついのか。本当に帰れないのか」と、これまでの「常識」に疑問を投げかけた。

ロボットの活用で、重い物は持たずに、棚に荷物を上げたり降ろしたりする仕事は、女性でも手の届く高さまでとすることが可能となる。物流業では保管の効率を重視して棚の高さは高くなるが、棚搬送用のロボットを活用し、実際に人が行う仕事の部分は、顔の高さまでとする。これまで人海戦術で行っていた仕事をロボットが担当していくイメージだ。例えば、DPL市川(上写真)においては、物流ロボットシステム「Butler®(バトラー)」を活用し、床面を移動するロボットが可搬式の棚の下に潜り込み、仕事をする人に棚ごと商品が届くようにしている。
また物流の現場では、出荷頻度が高いものを出口に近いところに置くのが鉄則だ。通常、こうした仕事は夜に行われるが、人ではなくロボットが行うことで、「帰れない」ということがなくなる。背景には、「今までと同じ事業構造で仕事をするのではなく、ロボット、AI(人工知能)やビッグデータを使ってどう効率を上げるか。それを考えるのが我々の本当の仕事」との思いがある。

各社の物流を一括管理、
無駄を省ける「シェアリング」

秋葉淳一・ダイワロジテック代表取締役社長は、さらに「全体の仕事の効率化を図る」という点から、「シェアリング」という新たなビジネスモデルの構築に注力している。
「物流業務は、これまではそれぞれの会社で設備を用意し、繁忙期の荷物量を基準に必要な面積や機械、人員を計算していた。この場合、閑散期で荷物量が少ない時のコストに無駄が生じる。この無駄、『もったいない』をなくしたい」と考えたのが始まりだった。「物流部門を大和ハウスグループに預けてもらい、こちらで責任を持って繁忙期と閑散期の差で生まれる『もったいない』をなくします」と物流業務の「シェアリング」を呼びかけている。
AIやロボットは先行して設備投資が必要となる。最初の投資リスクは大和ハウスグループが負い、このリスクをどう減らすか、シェアリングを軸に、設備、資産を生かした事業モデル作りを目指している。秋葉淳一・ダイワロジテック代表取締役社長は「『もったいない』のコストをなくしていくと、最終的に働く人に、賃金アップという形で応えることができる。サービスのレベルを上げて、要望があれば他の物流企業にもサービスを提供していく。業界全体で働きやすい環境を作り、『新3K』を返上する」と決意を語る。

ロジスティクス進化のトップを走る
「大和ハウスモデル」

村上泰規大和ハウス東京本店建築事業部
第一営業部営業第二課課長

現在、「シェアリングに参加したい」という企業が増えている。村上泰規・大和ハウス工業東京本店建築事業部第一営業部営業第二課課長は「大和ハウスグループは、新しいことをやってみようという土壌がある。この企業風土にエネルギーを感じて一緒にやってみたいと声をかけてくださる方が多い」と手ごたえを実感する。
このほど完成した物流施設「DPL流山Ⅰ」は、シェアリングと働き方の最新モデルの集大成だ。秋葉淳一・ダイワロジテック代表取締役社長は「ロボットもAIの技術もまだまだ進化し、人間の働き方は大きく変わる。大和ハウスグループが作ってきた家、集合住宅、工場、商業施設、物流施設、事務所などの建物と建物、人と人をつなぐロジスティクスをさらに進化させることで、人の生活に貢献したい」と、大和ハウスモデルの将来像を描いている。

「仕事はママと子どものそばにある」
ママスクエア社長が語る
「大和ハウスモデル」

大和ハウス工業が開発した国内最大級のマルチテナント型物流施設「DPL流山Ⅰ」(千葉県流山市)を含む「Dプロジェクト流山」では最終的に、最大で約600人が過ごせる国内最大の託児スペースが誕生する。大和ハウス工業が託児スペース付オフィス事業を全国で19か所展開している「ママスクエア」(東京都港区)と提携し、実現した。物流施設では初の試みで、名付けて「大和ハウスモデル」。ママスクエアの藤代聡社長に、「大和ハウスモデル」について聞いた。

国内で最大の託児スペースが生まれます。
大和ハウス工業の物流施設「DPL流山Ⅰ」を皮切りに敷地内の施設が全棟、完成すると、最大で約600人を受け入れることができるようになります。
物流施設内の託児スペースとして注力されたところは?
託児スペースに併設して、園庭を設けるなど子どもたちが過ごしやすい環境を作りました。扉は子どもが跳び越えることができない高さにするなど、安全面でも細部まで配慮しています。物流施設には、幼い子どもたちが大好きな車がたくさん走っています。この環境を生かして、車が行き交う様子を見て楽しむことができる展望台のような場所も作りました。

物流でも女性が
長く働き続けられる仕組みが大切

ママスクエアの「大和ハウスモデル」の仕組みは?
大和ハウス工業の物流施設「DPL流山Ⅰ」で働く人のお子さんが利用できます。仕事は主にパートタイムでシフト制です。お母さんが「DPL流山Ⅰ」の施設内で仕事をしている間、お子さんは託児スペースで過ごします。お昼を一緒に食べるなど休憩時間はお子さんと一緒です。「お母さんとお子さんのそばに仕事がある」というスタイルです。
物流施設の仕事についても、大和ハウスグループの最新のロボットを活用することで、「重い荷物を持つ」「荷物を高い棚に移動させる」といった体に負担のかかる作業をなくしています。「DPL流山Ⅰ」は、女性が長く働き続けることができるような仕組みが作られていると感じます。

「保育園でも在宅勤務でもない」
新しい概念でスタート

ママスクエア事業を2014年にスタートされたきっかけは?
お子さんを保育園に預けることができないなどの理由で、現在も仕事をしたくても希望に合った働き方ができていない主婦の方々は少なくありません。私自身、3人の子どもが生まれ、育児中の女性の仕事のあり方を真剣に考えるようになりました。最初に子どもが遊ぶキッズスペースの横にカフェスペースを設けた「親子カフェ」を開業し、この間、主婦の方々と一緒に働いて、主婦の持つ仕事の能力をもっと多くの場所で生かしたいとの思いが強くなりました。
さまざまな仕事があり、働きたいお母さんたちがお子さんのそばで安心して働くことができる場所として、私自身がたどり着いた答えが「保育園でも在宅勤務でもない」ママスクエアです。
物流施設への進出は初めてです。
これまで主にショッピングモールなどで事業展開してきました。物流施設は男性が多く働く職場というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。「DPL流山Ⅰ」で、女性が働く職場という実例を作っていきたいですね。流山市は近年、子育て世代に人気を集める街として立地も魅力的です。私自身が流山市出身ということもあり、縁を感じています。
パート労働の女性の職種は、「事務系」「サービス系(物販、飲食)」「物流・運送系」の大きく3パターンに分かれます。「DPL流山Ⅰ」は、ロボットやAI(人工知能)といった最新技術を駆使した物流の職場です。「大和ハウスモデル」として、物流の新しい働き方を提案できると考えています。また、男性が多く働いていた職場で女性が活躍できる環境を整えることが、人口減などの社会課題の解決につながると考えています。

もっと子どもを産んで育て
働きやすい環境づくりを進めたい

大和ハウス工業とのパートナーシップは?
「DPL流山Ⅰ」は、子どもたちの園庭を充実させるなど、「子どもたちにとっても良い施設にしたい」という全員の思いが形になっています。大和ハウス工業の皆さんとは「一緒に新しいものを作る。そして社会課題の解決につなげたい」との事業の理念が一緒でした。
総務省の就業構造基本調査によると、出産を機に離職する人は依然として多いのが実情です。他の調査などとも合わせて算出すると、働きたくても働けない子育て中の女性の数は全国で150万人を超えるとみられます。
IT(情報技術)が進化した現在、「仕事がお母さんと子どもの近くにある」環境を整えることができました。この「ママスクエア」が示す働き方は、待機児童問題の一つの解決策になります。「大和ハウスモデル」では、女性が働ける、働きやすい職場、新しい働き方を作るというだけでなく、お互いのパートナーシップでさらに進化させて、もっと子どもを産み育て働きやすい環境づくりにつなげていきたいですね。