SPONSORED BY


金融機関「構造改革」の切り札
~RPA時代の到来~
ネットワークスキャナー
が導く将来像

 金融機関が相次いで、人員削減など大胆な構造改革を打ち出している。超低金利が長期化し、融資や運用で収益を得るのが難しくなる中、体制の本格的な見直しが不可欠と判断しているためだ。単純に人を減らすだけではなく、業務プロセスを見直し、生産性を向上させる切り札として、RPA(Robotic Process Automation) に注目が集まっている。


コスト削減・コンプライアンス
こそIT・AIの出番

ホワイトカラー労働者

 「経営環境は極めて厳しく、変革が必要だ」
 構造改革を発表した大手銀行トップは危機感を強調している。
 大手銀行5グループの2018年3月期連結決算は、本業のもうけを示す業務純益の合計が1年前と比べ19.4%減となった。少子高齢化が進む国内で業務を拡大するのは難しく、コスト削減は待ったなしの課題になっている。一方で、コンプライアンス(法令順守)対応の厳格化など事務処理の要求水準は上がり続けている。
 とはいえ、コストを削るために、人手を減らすだけでは、現場の負担が重くなってしまう。従業員の創意工夫など、これまでの延長線で対応できる範囲は限界に近づいている。
 そこで有力な解決策として考えられているのが、IT(情報技術)やAI(人工知能)を活用し、ホワイトカラーがこなしてきたようなデータ入力や書類作成などの作業を行うRPAだ。人間のように仕事をすることから、仮想知的労働者(Digital Labor)とも呼ばれる。
 実は、構造改革を発表した金融機関も、削減目標としては従業員の人数ではなく、人がやるべき「業務量」を掲げているところが多い。RPAを取り入れることで、業務プロセスを改善していくという考え方がその背景にある。

ホワイトカラー労働者

RPAで融資書類を
「ミスなく迅速」一括管理

 RPAは金融機関の現場ではどう使われているのだろうか。
 銀行では、取引先から営業店に融資の申し込みがあったとき、営業店は本部の承認を求め、取引先の決算書類や担保などについての多くの資料を送っている。受け取った本部は書類を読み取ってデータ入力したうえで、資料を営業店に送り返すという作業を行っている。
 この間、ミスが起きないように細心の注意が払われている。ファクスを使う場合は、誤送信が起きないように別の人間が立ち会う。資料を送る前には控えのコピーを取ったり、送受信の記録を作って管理したりするなど、人の手を介した様々な事務作業が発生している。
 読み取ったデータをネットワーク上で管理するネットワークスキャナーを用いれば、資料送付からデータ入力、データベース構築までを迅速に、しかもミスなく済ませられる。RPAは人と違って、24時間働き続けられる。従業員の作業が大幅に省力化できるうえに、所要時間の大幅な短縮が見込める。
 顧客の貴重な情報はネットワーク上で保存するので、紙の書類は保管をしないで済む。営業店などで保管スペースが不要になるほか、情報の紛失や外部漏えいといったリスクから身を守ることにつながっている。
 RPAはこのほか、各種業務の報告書や案内状の作成、査定や審査、コールセンターなど幅広い分野の業務で活用が考えられている。

従業員の生産性・働きがい・
定着率にもプラス

RPA市場規模の推移および予測

出典:ITR「ITR Market View:AI/RPA 市場 2017」
※ ベンダーの売上金額を対象とし、3月期ベースで換算、2017年度以降は予測値。

 金融庁は2017年10月に公表した金融リポートで、全国の地方銀行のうち5割以上が2017年3月期に、貸し出しと投資信託の販売などの本業で利益を出せなくなっていると、経営状況に警鐘を強く鳴らした。日本の地銀や信用金庫など地域金融機関は、欧米の同規模の金融機関と比べ、従業員数が多く、1人あたりの業務粗利益が低いとの指摘もある。
 RPAが定着すれば、従業員は単調な事務作業から解放される。働き方改革が叫ばれる中、残業時間の短縮を後押しすることになる。また、接客やコンサルティングなど人間でないとできない分野に注力できれば、生産性が向上するとともに、働きがいも高まり、従業員の定着率の向上や新規採用にもプラス効果が出ると期待できる。
 米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーはRPAが2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者の仕事を置き換えると予測している。ITコンサルティング・調査会社ITRによると、2016年度はRPAの国内市場は8億円だったが、2018年度には44億円、2021年度には82億円と急成長が見込まれている。
 もはやRPA導入の流れは不可逆的で、製造業やサービス業など幅広い産業に広がっていくと予想されている。中でも、多くのデータを扱い、事務処理量が多い金融機関は導入のメリットを受けやすく、その先頭に立つべき存在とも位置づけられている。

RPA市場規模の推移および予測

出典:ITR「ITR Market View:AI/RPA 市場 2017」
※ ベンダーの売上金額を対象とし、3月期ベースで換算、2017年度以降は予測値。

「紙の文化を変えた、
働き方が変わった」
ネットワークスキャナー導入・
東濃信用金庫

 岐阜県南部の多治見市に本店を置く東濃信用金庫は、預金量1兆円を誇る東海地区の実力派の金融機関だ。美濃焼で知られる地元の窯業の振興に力を入れる一方、早くから休日に営業する店舗を設けるなど、地域に密着した金融サービスを展開している。
 2018年1月に事務作業の効率化を目指し、キヤノンのネットワークスキャナーを導入。融資稟議(りんぎ)の電子化に踏み切った。職員の事務負担の軽減に役立っただけでなく、融資の申し込みから実行までの期間が短縮するなど顧客サービスの向上にもつながったといい、今後は活用範囲の拡大も計画している。


営業店の変わらぬ事務フロー
「このままでは持たない」

佐伯肇一 氏東濃信用金庫
理事 事務部長 事務集中部長

 「私が信用金庫に入った30年以上前から融資の事務フローはほとんど変わっていない。やるべきことは増えているのに、このままでは営業店は持たないという強い危機感がありました」
 事務部長・事務集中部長を務める理事の佐伯肇一(としかず)氏は振り返る。
 かつて手書きだった融資稟議書をパソコンで作成するようにはなったが、顧客から提供される書類とともに、紙のまま信金内で回覧される。営業店は書類をコピーしたり、本部にメール便で発送したりする作業に追われる一方、本部は各営業店から届く大量の書類の整理に忙しい。できあがった稟議書もどの段階にあるのかが分かりにくく、決裁が下りるまでどうしても時間がかかっていた。
 佐伯氏は「多岐にわたる業務をこなしていくには、紙の文化を変えることが必要だと考えたのです」と話す。

佐伯肇一 氏東濃信用金庫
理事 事務部長 事務集中部長

各店1台で幅広い業務を
カバー、サポートも万全

高橋英明 氏東濃信用金庫
事務部事務指導課専任役

 東濃信金では当時、手形・小切手の通過証明に用いていた専用機が老朽化し、更新時期を迎えていた。用途ごとの専用機を置いても、限られたスペースが埋まってしまう。
 ネットワークスキャナー1台を各営業店に置くことで、融資稟議書だけでなく、預金、本人確認、相続、決算関連など様々な書類を一括して管理する道が開ける。他社からの提案もあったというが、佐伯氏は「幅広い業務が1台のスキャナーでできるのであれば、他のシステムも一部は不要になる。価格面も含めて非常に優位性があると考えました」と打ち明ける。
 導入に向けては、キヤノンのサポート部隊も万全の態勢を敷いた。導入を指揮した事務部事務指導課専任役の高橋英明氏は「こちらからはネットワークで使用するアドレスやフォルダーの名前を提供するだけで、導入した全58台についてキヤノン側で設定作業もしてもらったので、何もすることがありませんでした」と話す。

高橋英明 氏東濃信用金庫
事務部事務指導課専任役

省力化→融資先との
コミュニケーションが深化

 成果は着実に上がっている。営業店の職員からは「書類をコピーしたり、整理・保存したりする手間が省けて、作業が楽になった」という声が多く寄せられているという。高橋氏は「書類を作る時間、本部に送る時間などが省かれたことで、融資が承認されるまでの時間の短縮につながりました」と手応えを感じている。
 佐伯氏がさらに期待を寄せているのは、職員たちの働き方の変化だ。職員たちは融資先をどう見つけ出し、どう成長軌道に乗せていくかに常に頭を悩ませているが、それには融資先のことをまずはよく知り、対話を深めていくことが欠かせない。佐伯氏は「信用金庫にとってはお客様とのface to faceが一番大事。省力化で空いた時間を用いて、お客様とコミュニケーションを深め、相談業務にもっと力を割けるようになってもらいたい」と語る。
 東濃信金では、総合的な文書管理システムの構築に向け、2018年11月には文書管理センターを完成させる予定だ。融資稟議以外の業務についても、スキャナーを入り口にしてペーパーレス化をさらに推し進める予定だ。
 人生100年時代を迎え、顧客に資産形成を促すため、金融資産の販売強化も今後の重点分野としている。顧客が入力した情報を即時にデータベース化し、顧客に適切な説明項目を示すキヤノンの「預かり資産セールスナビ」の導入に向けた研修も進んでいる。キヤノンの様々な事務支援サービスが業務の効率化を支えていく。

「時間短縮、書類保管も不要。
助かります」
~使ってみました~

竹野あゆみ氏東濃信用金庫
本店営業部 補佐役

 本店営業部で融資を担当していますが、お客様からいただいた書類をスキャナーで読み込み、融資の稟議書を作っています。今まではお客様の書類は現物をメール便で本部に送っていたのですが、営業店に集めに来るのは1日2回です。今は全てデータ化して添付しているので、大変な時間短縮になりました。
 スキャナーはコンパクトで、使い方は簡単です。人に教えるのも楽です。読み取りスピードはすごく速くて、明るさやカラーと白黒なども自由に設定できるので、画像は鮮明です。
 お客様の書類を送るので、ミスがあってはいけません。様々なチェックに神経を使っていたのですが、これがなくなりとても楽になりました。手間のかかる書類を保管する作業がなくなったのも助かります。
 融資できるかどうかの返事や、実際に融資を実行するまでの時間も短くできたので、お客様からも喜ばれています。作業に慣れてくると、現場の残業時間も短くなりそうです。

竹野あゆみ氏東濃信用金庫
本店営業部 補佐役